平均一定の二項分布たち、試行回数を増やすと少数の法則が成立して、ポアソン分布になります。滅多に起きない事象についての法則で、製品の不良率の評価などに使われるそうです。
というのは、二項分布
\[ Prob(X=k)={}_nC_k p^k(1-p)^{n-k}\]
の平均が\(np\)だから、平均\(N=np\)を一定に保って試行回数\(n\)を大きくすると確率\(p\)は\(p=N/n\)に決まって、この確率自体は小さくなります。じゃあ\(k\)回当たる確率
\[
Prob_n(X=k)=\frac{n!}{(n-k)!k!} (N/n)^k (1-N/n)^{n-k}
\]
は\(n\)が増えるとどうなっていくのか、ということ。
これはつまり\(N=2\)で\(n=3,4,6,12\)の場合をはねはねさんがMAの日記で提案したものです。
2018年11月20日12:41
1対1の差しでの勝負、打撃の多いほうが勝ちというルールで先手だとして。みなさん、どれを選択しますか?
1.サイコロ振らずに2打撃
2.サイコロ3個振って、1-4で1打撃
3.サイコロ4個振って、1-3で1打撃
4.サイコロ6個振って、1-2で1打撃
5.サイコロ12個振って、1で1打撃
分散が\(np(1-p)=2(1-2/n)\)なので、 \(n\)が増えると増加しますから、どんどんブラッディになります、という指摘はコメントに見られます。
結論は、
\[
\lim_{n\to\infty} Prob_n(X=k)=e^{-2}\frac{2^k}{k!}
\]
となってこれはポアソン分布に他ならないのですが、これだけだとあれなので
- 2018年11月20日17:24 さかみちさんのコメント
- 計算が違っていなければ、選択肢5に向かって期待値である2以上の確率は下がり、逆に3以上の確率は上がるので。
負ける確率は、打撃0か1です。\(n\)が増えるにつれて1以下の確率が上がればよく、
まず
\[
Prob_n(X=0)+Prob_n(X=1)=p^n+np(1-p)^{n-1}=(1-2/n)^n+2(1-2/n)^{n-1}
\]
です。
自然対数の底を定義するときに現れる数列\((1+1/n)\)は単調増加なので、同じようにして\((1-2/n)^n\)も単調増加。
というわけで \(n\)が増えると2以上の確率は下がります。収束先は\(3e^{-2}=3/e^2\)です。
2になる確率を計算すると,
\[
Prob_n(X=2)=\frac{n(n-1)}{2}(2/n)^2(1-2/n)^{n-2}=2(1-1/n)(1-2/n)^{n-2}=2\frac{1-1/n}{(1-2/n)^2}(1-2/n)^n
\]
これは\(n\)が増えると減少し、\(2/e^2\)に収束します。結局、打撃が3以上になる確率は\(n\)が増えると増えます。増えますけど、打撃が0か1になる確率もそれなりにあるので、選択は難しい。大きな打撃を与える確率は非常に小さくなりますから、少数の法則そのものです。
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