MA方面に次のような問題がありました。
(PC版でないと式が出ないようです。)
7面のさいころが6個あって、それぞれ1が2面、2が2面、3が2面、、、6が2面に書かれている。各面の出る確率は等しい。1回振って1が出たら次は1が2面のものを振る。2が出たら2が2面のものを振る。以下同様とする。このとき、1から6までの目が出る確率は等しいかどうか。
答え:等しい。
理由:
1が出た後に1が出る確率は2/7、他は1/7。他の目も同様。同じ目が続く確率は2/7で他は等確率。つまり、xの目が出た後にy の目が出る確率 \(p_{xy}\) について、\(p_{xx}=2/7\) , \(p_{xy}=1/7, (x\ne y)\)となる。
ある時点でxの出る確率\(p_x\)を決めておくと、次に1が出る確率\(q_1\)は
\[q_1=p_1 \cdot 2/7+p_2\cdot 1/7 +\dots + p_6\cdot 1/7 \]
であり、他の目についても同様。
したがって、推移確率行列は次の通り。
\[
\begin{pmatrix} 2/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7\\
1/7 & 2/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7\\
1/7 & 1/7 & 2/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7\\
1/7 & 1/7 & 1/7 & 2/7 & 1/7 & 1/7\\
1/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7 & 2/7 & 1/7\\
1/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7 & 2/7
\end{pmatrix}
\]
定常状態の確率\((p_1, p_2, p_3, p_4, p_5,p_6)\)、言い換えると\(q_x=p_x\)となる確率は次を満たす。
\[(p_1, p_2, p_3, p_4, p_5,p_6)=(p_1, p_2, p_3, p_4, p_5,p_6)
\begin{pmatrix} 2/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7\\
1/7 & 2/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7\\
1/7 & 1/7 & 2/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7\\
1/7 & 1/7 & 1/7 & 2/7 & 1/7 & 1/7\\
1/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7 & 2/7 & 1/7\\
1/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7 & 1/7 & 2/7
\end{pmatrix}
\]
これは\(p_x\)が全て等しいときに成立するから、定常状態は
\((1/6,1/6,1/6,1/6,1/6,1/6)\)となる。(以上)
初めに一回振るときは6つのさいころを等確率に選ぶとして、1の出る確率は
1/6 x 2/7 + 1/6 x 1/7 x 5 = 1/6 となるので、初期条件も定常状態。だから、何回振っても特定の目の出る確率は 「平均して」 1/6 になる。
ただし、1が2回続く確率はもちろん 1/6 x 2/7=1/21 で、1/36ではない。
さらに、一度1が出たところから始めれば
\((1,0,0,0,0,0)\)を初期状態とするわけだから、2回目にそれぞれの目が出る確率は
\((2/7,1/7,1/7,1/7,1/7,1/7)\)となる。3回目はこれに右から上の行列を掛けて
\((9/49,8/49,8/49,8/49,8/49)\)。
いずれにしても、最初に出た目である1が出る確率は常に(少しだけ)大きく、無限に続ければ1/6に近づくということ。
いかさまに使えそうな確率のトリックかもしれない。